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アジア諸国の石綿対策をいかに支援するか

 ノルドは、平成202122年度の3ヵ年度にわたり、環境省の「アジア諸国における石綿対策技術支援業務」の事務局を務めています。この業務は、日本で石綿による健康被害が起こってしまったことの反省に立って、アジア諸国における現状を把握しつつ、これまでの経験に基づく知見や技術をアジア諸国に提供しようとするものです。ノルドでは、この業務を通じて、アジア諸国の政府機関へのアンケートをはじめ、ベトナムやフィリピンでの現地調査、東京およびジャカルタでの国際ワークショップ、ラオスでの現地講演活動、そして東京でのアジア諸国向け技術研修と、なかなかできない貴重な経験をさせていただいています。

そして、この1116日(水)に、宇都宮の栃木県総合文化センターで開かれた「第51回日本労働衛生工学会・第32回作業環境測定研究発表会」で、この業務の成果と課題を総括する機会に恵まれました。「環境省 アジア諸国における石綿対策技術支援検討会報告から」とのタイトルで発表を行いました。工学系の発表が並ぶ中でやや異色の内容でしたが、これまでの取り組み、調査を通じてわかったこと、今後の課題などをご報告し、会場の方々は熱心に耳を傾けてくださいました。

 これまでの業務を通じて実感しているのは、インドネシア、ベトナム、フィリピンといった国々では、石綿規制・対策を「やるべきか否か」について議論する段階は過ぎており、「いかにやるか」で苦慮しているということです。特に、建材を中心に現在最も多く使われており、有害性をめぐる議論がまだ決着していないクリソタイル(白石綿)の規制については、これらの国々では経済性に優れた代替品がないこともあり、一筋縄ではいかない状況です。少なくとも当面は、「管理しながら使用する」というアプローチでいかざるをえない、というのが実情です。

 発表後、建材メーカーの方から学会事務局に問い合わせがあったと耳にしました。日本では代替品の開発が進むに伴って段階を踏み、時間をかけて全面禁止に辿り着いた経緯があります。産業界がアジア諸国への石綿対策技術支援を事業機会と捉えることになれば、支援は新たな段階に進むと期待されます。

 なお、今年度も本業務を受注することができました。訪問国はまだ未確定ですが、現地講演活動でまた新たな国に足を運ぶことになりそうです。

 

(後藤 大介)

研究員ノート

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