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おかげさまで30周年

201657日、おかげさまでノルドは30周年を迎えることができました。

おりしも414日以来の熊本県及び大分県の震災によって亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

ノルドの設立はチェルノブイリ原子力発電所事故の起こった1986年であり、25周年を迎えた2011年は東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故が発生した年でありました。そうした経験から、どうしても熊本県の震源地の近くで稼働している川内原子力発電所、そして停止中ではありますが大分県の震源地の東に連なる中央構造線の上に位置する伊方原子力発電所の安全性が気になるところです。

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産業合研究所・地質調査総合センターの作成した地震(青円)・活断層(赤線)地図に原子力発電所の位置を追加

 

原子力資料情報室は、420日に「あらたな脅威を引き起こさないために川内原発をとめるべき」との声明を発表しています。(http://www.cnic.jp/6965)

一方、原子力規制委員会は4月28日、①今回の地震により川内原子力発電所で観測された最大の揺れは、数ガルから十数ガル程度であり、原子炉を自動停止させる設定値である80から260ガルに比べて小さいもの、②今回地震が発生している布田川(ふたがわ)断層帯と日奈久(ひなぐ)断層帯の2つの断層帯が連動して、一度に動くことを想定しても発電所に与えるこの地震の影響は、100ガル程度、③詳細な調査の結果、川内原子力発電所の敷地内に活断層の存在は認められていない、④620ガルという地震動に対しても、安全上重要な設備の機能が損なわれないことを審査会合において確認しているため停止する必要はないという見解を発表しました。(https://www.nsr.go.jp/news_only/20160428_01.html)

 

しかし、2011年東日本大震災では2,933ガル、2004年新潟県中越地震では1,700ガル、1995年阪神大震災では800ガルと最近の巨大地震では、この620ガルという数値を超える地震動が観測されています。活断層が発見されていないことは、そこに地震が発生しないことを保証するものではありません。

80260ガルで自動停止するよう設定されているとしていますが、原子力資料情報室が指摘しているように原発は運転を止めればただちに安全というわけではありません。比較的安定的な冷温停止までには少なくとも数時間から1日は必要です。川内原発は現在12号炉が運転中で、それぞれ157体の燃料集合体を装荷中。このほかに約2,000体の使用済み燃料がプールに保管されています。あらかじめ運転を停止しておくことで、運転中より危険性は確実に下がり、使用済み燃料プールの機能喪失といった最悪の事態に対応する余力も生まれます。現在停止中の伊方原発においても、中央構造線の延長上に巨大地震が起きている訳ですから、最悪の事態を想定した安全策を講じることが必要と考えます。

 

残念ながら、報道機関の自粛なのか政府等からの圧力が働いているのか、こうした被災地に近い人々の生命、生活、環境、そして将来世代にもかかわる重大な事項がマスメディアでは十分に報道や議論がなされていません。結果、再度の巨大地震の中でも原子力発電所について想定外を想定する安全策は取られていません。むしろ再び近視眼的な原子力村周辺の経済優先の論理で原発の再稼働が進められようとしているようにすら感じます。

 

いま、日本列島全体が地震・火山活動の活動期に入っています。特に九州では地震だけでなく口永良部島、桜島、阿蘇山、 霧島山(新燃岳)などの火山活動も活発です。今回の熊本・大分の地震が周辺の地震や火山活動に影響を与えることは当然予想されます。5月7日になって、薩摩半島西方沖でマグニチュード4~5クラスの地震が観測されています。震源は川内原子力発電所の南西にあたる活断層の発見されていない海底です。

 

フクシマの災禍からまだ5年。電力事業者も国も責任をとれない取り返しのつかないい悲劇を二度と繰り返してはなりません。想定外のリスクを想定してクライシスの兆しに事前に備える志向と思考、態勢と体制、そして安全策の実行を、電力事業者、規制当局、自治体、国の担当者に悲痛な気持ちで期待します。


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